初恋、それはこんな気持ちで――。
 勢いよく入口から出ると、ぱっと視界が明るくなった。入口にいた遊園地のお姉さんが、ちょっと驚いた表情をしている。

 そして、私を引っ張っていた人がこっちを向いた。深くパーカーのフードを被っていたけれどすぐに誰か分かる。

 正体は、私がよく知っている人だった。

「……叶和くん、どうしてここにいるの?」

 そう、叶和くんだった。

「亜結奈が、苦手なお化け屋敷に入ったから……」

「苦手って覚えてくれてたんだ……いや、それよりも、どうして遊園地にいるの?」

「亜結奈と兄貴がふたりきりでデートするのが嫌だったから……」

 叶和くんは地面に視線を落とした。
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