初恋、それはこんな気持ちで――。
 遊園地に行った日「今度俺の願い事を聞いてね」って、おごったチケットを渡した時、亜結奈ちゃんにそう伝えた。〝願い事〟というのは、遊園地デートをした後に、本当に付き合ってほしいとお願いする予定だった。だけど叶和も遊園地に来て、それからふたりは――。

 ふたりはいつもリビングで勉強をしていたのに、その日から叶和の部屋で過ごす日も出てきた。顔を赤く染め、よそよそしい雰囲気で部屋からふたりが出てくる日もあった。

 何かふたりに進展があったんだなって感じる時も、複雑な気持ちで。

 だけど、叶和も亜結奈ちゃんも俺にとってはすごく可愛くて、大切な存在だ。

「亜結奈ちゃん、遊園地の時に『願い事聞いてね』って俺が言ったの覚えてる?」
「うん、覚えてるよ」
「……亜結奈ちゃん、叶和とずっと幸せでいてね」
「うん、願い事ってそれ?」
「――そうだよ」
「ありがとう、湊にいちゃん。じゃあ私、ちょっと買い物行ってくるね」
「いってらっしゃい、気をつけて」

 亜結奈ちゃんの背中を、見えなくなるまで見送った。

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