秘密のアフタースクール
朝のHRのあと、隣の席の男子と雑談していたら、チャイムと同時に世界史担当の教師が入ってきた。

最初は、ぼんやり窓の外を眺めていたのだが、前を見た瞬間、

「あ…」

思わず声が出てしまい、何人かがこちらを振り返る。

私は俯いて、何でもないというように、右手をパタパタさせた。

昨夜の青年が、教壇に立っていたのである。

あの人、先生だったのか…。

今年度の世界史の授業は、まだ今日で2回目なのに、ちゃんと生徒の顔と名前を把握していたとは大したものだ。

私は、この先生の顔は、今、ちゃんと覚えたものの、名前がわからない。
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