妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
「円香」

 優しい声音で名前を呼ばれる。彰史の表情はとても柔らかくて、円香のことを気遣う色に溢れている。

 それを認識した円香ははっとした。

 これまでにも彰史は円香を抱いているときに、何度も「円香」と呼びかけてくれていた。きっと今と同じように円香のことを気遣ってくれていたに違いない。

 円香はそれをずっと無視していたのだ。自分のことに精一杯で彰史に少しも応えていなかった。

 どれだけ彰史にひどいことをしていたのかを改めて思い知り、円香は罪悪感でいっぱいになる。

「今までごめんなさい。本当にごめんなさい。彰史さんはちゃんと私のこと見てくれていたのに。ごめんなさい」
「気づいてくれたなら、それでいい。俺もこの前は冷たい言い方をして悪かった。円香とはいい関係を築けていると思っていたから、拒絶されるのが面白くなかったんだ。すまなかった」
「私が言わせたんです。ごめんなさい」
「もういい。円香の気持ちは十分伝わったから。もう謝るな。それよりも俺はもっと触れ合いたい。いいか?」

 円香は力いっぱい頷いた。

「触れてください。彰史さんに、触れてほしい」
「無理なときは言えよ? 黙って耐えられるのが一番きつい」

 円香の「はい」という返事を合図に、二人の本当の触れ合いが始まった。
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