「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
しかしエレオノールは素直に喜んでいた。

(お願いする日は来ないけど、こう言ってくれたことは忘れない)

 エレオノールは深々と頭を下げてからその場を逃げ出した。

 もう少しだけここにいたいという気持ちが芽生えてしまう前に。



 部屋に戻ったエレオノールは、簡単に荷物をまとめてリュースを呼んだ。

「みゃあ?」

「お出かけするの。だからいい子にしていてね」

「あみゃあ」

 ここへ来てからは使っていなかった革の鞄を取り出し、必要なものを詰め込む。

 食べ物以外にも薬や布を入れてから、エレオノールはふと手を止めた。

「……さすがに持っていけないわね」

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