「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 広げた手のひらの上できらりと輝いたのは、リヨンでのパーティーでジークハルトが選んでくれたペンダントだった。

 美しい翠玉は今見ても吸い込まれそうになる。

(あの日、人生で一番の『特別』を味わったわ)

 広間でのダンスは、素晴らしいひと時だった。

 周囲の人々など気にならないほどジークハルトに夢中で、思い出すだけでも胸が熱くなる。

(テレーの言ったこと、今ならわかる)

 ペンダントを名残り惜しげにテーブルに置き、懐かしい声を思い浮かべる。

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