【完結】スキャンダラスな愛され契約~危険な魅力の幼馴染の愛は重い~
 私が瑛二くんと結婚することを決めたことは、一週間も経たずに親族ほぼ全員に伝わった。

 お父さんやお母さんは、急に私が結婚を決めたことに驚きはしたものの、相手を聞いて妙に納得。

「みつばは昔から瑛二くんに懐いていたもんね」

 なんて言われて、盛大な勘違いが起こっていると理解する。

 幼少期の私が瑛二くんに抱いていたのは『兄貴分としての好意』だった。でも、どうやら周囲からすればそれは『幼子の淡い初恋』に見えていたらしい。

 ……妙に恥ずかしい。

 その後、とんとん拍子に両家の顔合わせが終わり、今は結婚式をどうするかという話をしている。

 私は別に挙げなくていいといったのに、瑛二くんは頑なに「式は挙げる」と譲ってくれなくて。

 結果的に、一年後に挙げようということで話がまとまった。式場探しとかは、全部瑛二くんがするらしい。

 ……どうしてそんなにも気合が入っているのか。そこは、私には知る由もない。

 そんなこんなで、慌ただしく三ヶ月が過ぎて。

 私は、今日からちょっとお高いファミリー向けマンションにて、瑛二くんと同居……いや、この場合は同棲することになってしまった。

(……頭痛い)

 七階建てのマンションの、六階。

 なんでもこのマンションは、零一くんの友人が所有しているものらしい。零一くんが、教えてくれた。

『どうせ瑛二は何処かのマンションに放り込むつもりだったからな。せっかくだし、同棲すればいい』

 零一くんはなんでもない風にそう言ったけれど、私としてはちょっと困る。……うん、ほら。だってこれ、契約結婚だし……。

(……やっぱり、展開早すぎるよね)

 荷物が詰まった段ボールを開けながら、私はまた大きくため息をつく。

 私室となる部屋は、日当たり良好のいい場所だ。クローゼットとかもついていて、収納スペースもたくさんある。

 これが瑛二くんとの同棲生活の物件では無ければ、飛んで跳ねて喜びたいくらいにいい場所なのだ。

 ……そう、前半が大問題なだけであって。

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