【完結】スキャンダラスな愛され契約~危険な魅力の幼馴染の愛は重い~
 すらりとした体躯。高い背丈。明るい茶色の髪の毛は、うなじまである。明らかに、軽そうな人。

 その人はかけていたサングラスを外す。

 彼と私の視線が、しっかりと交わる。

(……あ)

 咄嗟に、店内に逃げ込もうとした。なのに、彼のほうが行動が早くて、あっさりと手首を掴まれて。

「……みつば!」

 名前を呼ばれて、仕方がなく彼を見る。

 鋭い形の目には、何処となくあの頃の面影があった。

「……瑛二(えいじ)くん」

 小さく彼の名前を口にすれば、彼が意地悪そうに口元を歪めた。

「久しぶりだな。……何年ぶりだ?」
「知りません。私は一方的に見てますし」

 ジト目になりながらそう答えれば、彼は「そっかそっか」と言葉をくれた。

「と言いますか、こちらに戻ってきたのですね」
「ちょっといろいろあって、兄貴に呼び戻された」
「そうですか」

 他人行儀な話し方。でも、そうなるのも当然だ。

 だって――この人は。

(割と有名な若手俳優だものね……)

 私の年上幼馴染である彼、鈴城(すずしろ) 瑛二は。

 最近有名になってきた、若手の俳優である。そう、つまり――芸能人なのだ。
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