【完結】スキャンダラスな愛され契約~危険な魅力の幼馴染の愛は重い~
第1話 幼馴染と結婚することになりまして
 そもそも、私と瑛二くんの関係は、幼馴染という一言じゃ上手く表せないようなものだ。

 私よりも四つ年上の瑛二くんは、創業百三十年近い老舗呉服屋『鈴城』の次男。長男である零一(れいいち)くんが跡継ぎなので、瑛二くん自体は自由奔放に育った。

 対する私は、これまた老舗の和菓子屋『黒石(くろいし)』の三女。上のお姉ちゃんは婿を取って、家を継ぐ準備をしている。下のお姉ちゃんは、結婚して家を出ている。

 お姉ちゃん二人は末っ子の私のことを可愛がってくれたけど、やっぱり三姉妹。兄が欲しくて、私はよく瑛二くんに引っ付いていたのだ。

 瑛二くんも私のことを実の妹のように可愛がってくれていた……のだけれど。

 まぁ、年頃を迎えると私と瑛二くんは疎遠になった。具体的に言えば、私が中学校に上がったくらいから。

 合わせ、瑛二くんは高校を卒業すると上京してしまい、以来全然連絡を取っていない。会ったのは八年ぶりくらい。……まともに会話をしたのは、十年ぶりくらいじゃないだろうか。

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