【完結】スキャンダラスな愛され契約~危険な魅力の幼馴染の愛は重い~
「そうですか。では、食べられる分だけは食べてくださいね。……身体が持ちませんよ」
「……はい」

 まぁ、今回倒れたのもそういう要因だろうし……と、思っていると。

 看護師さんが私のほうにすたすたと近づいてくる。

「意識を失われている間に、諸々検査をさせていただいたのですが」

 神妙な面持ちで、看護師さんがそう切り出してきた。……自然と、息を呑む。

(病気とか、ないよね……?)

 不安に思う私を見てか、看護師さんは表情を緩める。

「以上はなかったですよ。……ただ、そうですねぇ」
「……なに、か?」

 この含みがあるような言い方が、少し気になってしまう。

 その所為で私が小首をかしげれば、彼女は満面の笑みになる。

「お腹に赤ちゃんがいるみたいですよ」
「え……」

 予想だにしていない言葉に、目を瞬かせる。

「明日、産婦人科のほうに行って、詳しい説明を聞いてくださいね。……ですが、妊娠していることは間違いないかと」
「え、え、ぁ、そう、ですか……」

 人間とは。驚きすぎると、言葉が出てこないらしい。

 看護師さんもこういう態度の人を、何度も見ているのだろう。特に驚いた様子はない。

「旦那さんにも、お伝えしてあげてくださいね。……相当切羽詰まっていましたので」
「……はい」

 彼女の目が、瑛二くんに向けられる。……素直に、頷いた。

「では、私はこれで。夕飯は持ってきますので、お腹の赤ちゃんのためにも、少しでも食べてくださいね」

 それだけの言葉を残して、看護師さんが立ち去る。

 扉が閉まる音が聞こえて、私はようやく息を吐けた。
< 48 / 55 >

この作品をシェア

pagetop