日常を返せ!
 まるでわたしが田山を殺したと思っているような視線だ。

「……わたしを疑ってるの?」

「まあね。よく言うじゃん、第一発見者が犯人だったりするって」

「わたしはそんな事しない‼︎」

 石井の人を舐めたかのような言い方に腹を立てて、わたしは机を叩いて大声を上げた。

 わたしの行動にファミレスにいた人たちがこちらを振り向き、訝しげな視線や小声で何かを話している。

「……気分悪いし、もう帰るね」

 自分で呼んでおいての態度ではないのはわかっているが、これ以上ここにいたくない。

 下手をしたら石井を殴ってしまいそうだ。

 そうなれば中川も黙っていないだろうし、喧嘩に発展するだろう。

 そこでわたしたちが誘拐事件のメンバーだと知れば、SNSに不名誉な動画が投稿される。

 そんな最悪の状況を避ける為、石井をもう一度睨んでから席を立ち、離れた席で待っていたあかねたちに声をかける。

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