日常を返せ!
 扉で隠れて見えなかったが、惣菜パンの入ったビニール袋を持っていた。

 それを見ると空腹を思い出したのか、急激にお腹が空いてきた。

 わたしは咳払いしつつ内鍵を外すと、羽間が控えめに入ってきた。

「お邪魔します」

 羽間は袋の中を見せるようにわたしに差し出す。

 そこから二つのパンを取って座ると、羽間は正面に座りパンを一つ取り出して口にする。

 わたしも一つを食べ始める。

 お互い無言で食べ続けていたが、一つ目のパンを食べ終わったところで、羽間に声を掛けた。

「羽間は昨日の話、どう思ってるの?」

「昨日の話って、デスゲームが始まっていてわたしたちの誰かが殺しているってこと?」

「うん」

「……デスゲームが始まっているかはともかく、田山さんが警戒した日に殺されたことを考えると、怪しいと思っています」

「そうだよね。羽間もわたしが犯人だと思ってる?」

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