日常を返せ!

偽物

 しばらくすると警察が来たのだが、その中に見覚えのある人物がいた。

「あれ、新田さんじゃないですか」

「え、飛口刑事?」

 わたしに気付いた飛口刑事が声を掛けてきた。

「マスコミに襲われたと聞いたのですが、大丈夫ですか?」

「アレを見て大丈夫と言えますか?」

 わたしが地面に落ちたままの髪の束を指差すと、飛口刑事は小さな悲鳴を上げた。

「ヒィッ! 新田さん、どの部分を引き抜かれたんですか⁉︎ 急いで病院に行かないと!」

「それが、どこも出血していないんですよ」

「え?」

 飛口刑事はわたしの頭をジッと見つめた後、落ちていた髪の束を拾い、観察し出す。

 すると、何かに気付いた飛口刑事は、わたしの方に振り向くと大きなため息をついた。

「もう新田さん、驚かさないでくださいよ。髪の毛が抜けたと聞いて驚きましたが、これエクステですよね?」

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