日常を返せ!
「え?」

 わたしが驚いていると、飛口刑事が落ちていた髪の毛をよく見せる。

 すると根本が粘着シールとなっていて、髪の毛もよく見ると地毛より若干色が明るい気がする。

「明良、エクステしてたの?」

「あ、うん。そうなの」

 あかねの言葉に戸惑いつつ頷いた。

 本当はそんな記憶が全くないが、話をややこしくしないために肯定した。

「でも、明良は髪を掴まれて無理矢理取材しようとしたのは、暴力沙汰ですよね! あかねを突き飛ばしたり警察を呼ぼうとしたら妨害しようとしたので罪になりますよね!」

「え、ええ」

「それなら早く捕まえてくださいね。そうじゃないと写真をSNSに投稿して、男の情報を色んな人に呼び掛けますから!」

「は、はい。こちらも善処しますから。あまり過激なことをしないでくださいね。最悪の場合、名誉毀損で訴えられる場合がありますから」

 そう息巻く桃香に飛口刑事はなんとも言えない表情をして、やんわりやめるように告げていた。
< 146 / 296 >

この作品をシェア

pagetop