日常を返せ!

 事情聴取も終わり、疲れたわたしたちは無言で帰路につく。

 わたしは家に着くと真っ先に洗面所に向かう。

 そして抜けた箇所がどうなっているかが気になり、鏡で見てみた。

 髪をかき上げて頭皮をあらわにすると、エクステのあった箇所の頭皮は、綺麗に真四角に刈り取られており、その中央には横一線につぎはぎの痕がついていた。

「なに、これ」

 ドラマで見る手術痕のようで、気味が悪い。

 この痕はいつ出来たのかという答えはすぐに出ていた。

 わたしはスマホを手に取り羽間にビデオカメラで連絡をした。

「もしもし、羽間?」

「新田さん? どうしたんですか?」

「ちょっと確かめてほしいことがあるの。髪の毛の一部に違和感がない?」

「髪の毛? ……あれ、ここだけ髪質が違います」

 わたしの質問を訝しげながらも羽間が自分の髪を見ていると、不思議そうな声を上げて一房の髪を摘んで首を傾げていた。

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