日常を返せ!
「何やってるのよ、多田くん!」

 佐藤先生が机を叩いたのか、激しく音と共に激怒している。

 いつも温厚な先生だから、こんなに怒っている様子は初めてだ。

「……すみません」

 多田もいつものお調子者の姿は形を潜めて、ひどく落ち込んだ声で謝罪している。

「貴方の軽はずみな行動でクラス全員が迷惑掛かっているの、分かっているの⁉︎」

「はい、すみません」

 激怒していた佐藤先生は、多田の何度目の謝罪を聞くと、大きなため息をついた。

「上と会議した結果、多田くんのアプリを消去すればお咎めなしだそうです」

「は⁉︎ じゃあ、今までの成果は⁉︎」

 佐藤先生の言葉に、多田は動揺した様子で先生に問い詰める。

「それは知りませんよ。これ以上騒ぎを大きくしたくなかったら、すぐにアプリを消去しなさい!」

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