日常を返せ!

鬼ごっこ

 わたしは頷いて裏門へ移動しようとした瞬間、わたしのスマホが鳴り始めた。

 植本は今の状況を知っているから、連絡なんてしない。

 嫌な予感がしつつ画面を見ると、着信相手に中川の名前が表示されている。

 わたしはすぐに着信を切ったけど、相手に場所を教えるには充分だった。

「見つけた」

 わたしたちが後ろを振り向くと、先程出て行った窓から今にも飛び出そうとしている中川がいた。

「危ない明良!」

 あかねがわたしを庇うように背中を強く押した。

「走って!」

 前によろけるわたしの腕を羽間が掴んで走り出す。

 あかねと羽間のおかげで、寸前のところで中川の奇襲をかわすことが出来た。

 後ろを振り向くと、中川があかねと取っ組み合いをしている。

「邪魔するな!」

「あかね!」

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