日常を返せ!
 ナイフを振り上げようとした中川に、桃香があかねの加勢をする為にしがみつく。

「あかね、桃香!」

「明良は逃げて!」

 助けに戻ろうとするわたしに、桃香が逃げるよう叫ぶ。

 大事な友人が危ない目に遭っているのに、逃げるなんて出来ない!

 桃香の言葉を無視して中川たちに近づこうとするが、羽間が強く腕を握る。

「近づいてはダメです」

「離して、二人を助けなきゃ!」

「二人を助ける為に近づいてはいけません! 中川をこちら側に来るよう仕向けましょう」

 そう言って羽間が裏門まで走ると、中川に向かって大声で叫んだ。

「中川さん! わたしたちはこちらですよ!」

 羽間の言葉にわたしたちとの距離が離れたことを知った中川が、二人を突き飛ばして追いかけて来た。

 二人が怪我をしてないか不安だったが、幸いどこも怪我をした様子はない。

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