日常を返せ!
「どうせ俺一人生き残れば、デスゲームは終わるんだ。ルリカの敵討ちも出来て一石二鳥だ」

「そうですね。僕が殺した石井さんも貴方の勇姿に大喜びでしょう」

「……は?」

 二人のやり取りを見守っていたが、植本の衝撃な一言で中川が固まった。

 かくいうわたしも思考が止まり、植本が何を言ったのか理解出来なかった。

「お前がルリカを殺したのか?」

「そうだ、と言ったらどうするんです?」

「じゃあ、お前が『復讐者』か⁉︎」

「僕は違いますよ。ただの『一般人』……。いえ、石井さんを殺したから犯罪者ですね」

 愉快そうに笑う植本に堪忍袋の緒が切れたのか、腕を力任せに振り回して植本の束縛から逃れ、その勢いのまま腹部に拳を撃ち込んだ。

 鳩尾に当たったのか、よろめく植本を突き飛ばし、中川は馬乗りして逃げられないようにする。

 突然の乱闘に駅周辺の人たちが悲鳴を上げて中川たちから距離をとっていく。

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