日常を返せ!

報酬

 そこで映像はブツリと途切れ、元の主催者だけの画面に切り替わる。

 主催者は過去の映像を見終わって呆然としているわたしを、口元を隠して愉快そうに笑っている。

 その態度を咎めたいけど、今見た光景を上手く整理出来ない。

 つまり、クラスメイト全員がデスゲームのことを最初から知っていたってこと?

 心配そうに声を掛けたり、興味本意に近付いたのも、デスゲームの放送に映って賞金を得る為だったなんて……。

「いやー、『保護者』のおかげで放送を見ていた視聴者も大喜びでしたよ。まさか『無知の子』が最後まで生き残るとは思いませんでしたから」

 心底嬉しそうに話す主催者に苛立ちを覚える。

 わたしだけが何も知らない状況で死にそうな思いをしてたなんて。

 クラスメイトもそんなわたしを励ますフリをして、早く賞金が入らないか待ち望んでいたことにも。

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