日常を返せ!
 デスゲームが終わった後を考えた羽間は、再び自分が多くの人から非難されることが嫌だったはずだ。

 復讐を終えたのに、それが原因で新たな地獄へ行くことになるのだから。

 そして憎む相手は復讐をした自分自身に変わってしまう。

『今度はお前が苦しめ』

 羽間の最期の言葉は、この状況を見越してのことだったんだ。

 これからわたしは第二の羽間として生活を送ることになるんだ。

 そんなわたしに救いの手を差し出す人はいない。

……むしろデスゲーム主催者は喜んでわたしのその後を視聴者に情報提供するだろう。

 これからのことを考えると、心にぽっかりと穴が開いて空虚に感じる。

 しかし、穴が空いているはずなのに鉛がついたように重く感じる。

 矛盾した感情に、わたしはいつの間にか両目から涙をこぼしていた。

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