日常を返せ!

脱出

「ここでいつまで考えても仕方ねぇだろ。もうこれ使って反対の扉を開けようぜ」

 そう言って中川がカードキーを拾い上げて扉に向かって歩き出し、その後を石井が追う。

「待ってよ、星矢ー」

「ちょっと、勝手なことしないで‼︎」

「そうですよ。もし、扉の前に仮面の男の仲間が待ち受けていたらどうするんですか!」

「それなら、これでいいだろう」

 植本の指摘を聞いて中川は石井を手招きし、機械の付いている壁に体を寄せた。

 これで自動ドアが開いても正面から攻撃される心配はない。

 その様子に何も言えなくなった植本に中川はニヤリと笑う。

「それじゃあ、開くぞー」

 カードキーをかざすとピッと甲高い機械音の後、自動ドアが開いた。

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