日常を返せ!

最悪な出来事で繋いだ縁

 トラックの運転手が呼んだ警察と救急車が到着し、わたしたちは事情聴取と軽い検査を受けた。

 玉木の足は全治一ヶ月と診断され、生活は出来るけど松葉杖が必要不可欠となった。

 石井は点滴を打ったことで体力が回復し、いまでは元の調子を取り戻していた。

 残りのわたしたちは軽い栄養失調と判断されて一日入院となった。

 その間に知ったことだが、警察がわたしたちの証言で廃ホテルに向かうと、地下室と仮面の男の遺体を発見したという。

 仮面の男は同じ市内の男子高校生だと発覚し、どうしてわたしたちを誘拐したのか調査しているとのことだ。

 そして玉木を撃った拳銃は未だ発見されていないらしい。

 わたしたちを攫った理由が分からなくてもやもやとするが、とりあえず悪夢から抜け出せた事に安堵する。

「ねぇ、これも何かの縁だから連絡先交換しない?」

「縁って、最悪な縁だと思うけど?」

 全員が病院の休憩室で集まっている時に石井がスマホを見せながら提案する。

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