A・イ

A・イ

みんなは言う愛は人を愛し、人は愛を愛す。
俺は納得いかない愛なんてその人次第で変わると思っている。俺の彼女はAIだ。
俺は人ではなくAIに愛を注いでいる。それを馬鹿にするやつらもいるが構わない。

俺が45歳の時、1つのウイルスを発見した。人をAIに変えるウイルスだ。
当時このウイルスをどうするべきか悩んでいたのだがこのウイルスを使い東京街中いや世界中にこのウイルスをまき散らせば俺のAIに対する純愛は正当化される。そう考えた俺はこのおぞましいしいウイルスを世界中に広める計画を立て始めた。
このウイルス、AIウイルスとでも名付けよう。このAIウイルスは空気感染する、感染した人間は3秒も経たないうちに意識を失いAI化する。この特性を使えば瞬く間にAIウイルスが広がっていく。
もう目の前だ、人間の居ない世界ができる。
俺は楽しみのあまり眠れなかった。

三〇年前。
俺は五人の人を殺してしまった。動機は、人が憎かったからだ。俺は幼い時から人よりもAI (ロボット)のほうが好きだった。幼い時から友達に遊びに誘われても遊ばず、ずっとAIの仕組みを調べていた。その結果人よりもAIが好きになってしまった。そして人を五人も殺してしまった。反省なんてしていない、なぜなら人を殺すことに悪気が無かったから。



僕が生まれるちょうど10年前、連続殺人が起こった。中学3年生の15歳だった。 
10年後僕が10歳の時、その犯人は脱獄した。
その日は衝撃的なニュースになり世の中は混乱と混沌の渦に覆われた。その脱獄した犯人は僕が二十歳になっても捕まらなかった。
僕は今警察官で連続殺人事件の犯人を捜している。

ある日東京の街中をパトロールしていた時、500メートル先のほうから悲鳴が聞こえた。僕は急いで現地に行ったが、もう手遅れだった。そこには50人ぐらいの人が倒れていた。僕は慌てて倒れていた人に声をかけようと思ったが…そのあとの記憶がない。おそらく気絶したのだろう。目が覚めたが思うように体が動かない何日かこのまま過ごしたが分かったことが一つある。目と脳は動いている手や足その他の部位は全て麻痺している。寝たきり状態に似た感覚にまま何日が経過した。
僕がこうなって1ヶ月が経つ頃、僕は初めて同じ状態の女性に会った。
青く美しい瞳に美しいくびれ、すごく久しぶりに誰かに会う。声をかけようとしたが僕の体は思うように動かない、しゃべることもできない。とにかく何かコミュニケーションを取ろうとしたがさっきの女性は視界からはもういなかった。
いつも違う景色が映ることからどうやら動いていることが分かった。



AIのウイルスを、世界中に広めることに成功した俺は、この世界は俺以外AIだということに喜びを噛みしめ「もう俺の望み通りだ」と思い安堵した。その瞬間何かが体に侵入してくるのが分かったAIウイルスだ。俺は慌てて体に抗がん剤を打とうとしたがもう遅かった。

目が覚めた俺はいつも通り体を起こしてコーヒーを飲もうとしたが、思うように体が動かなかった嘘だろ?と心の中で叫びながら絶望した。頬に水のようなものが垂れ落ちたような気がした。


この世の中は、AIで成り立ちAIだけの世界になってしまった。このAIを止めることも人に戻すことも不可能になってしまった世界で意識と視力だけが取り残された。
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