京の都陰陽師
何日もかけて、やっと、吉備の屋敷に辿り着いた、晴明と珱姫。
「珱姫…。
ここは、やはり落ち着くなぁ…。」
「はい。
皆で、荷物を整頓して、掃除して。」
「かしこまりました。」
「式神が足りなかったら言って。
増やすから。」
「かしこまりました。」
式神達は、早速掃除から始める者と荷解きする者とに分かれて、行動し始めた。
晴明と珱姫は、今宵の天体観察の準備に入った。
式神達が、掃除と荷解きを終わらせると、晴明は屋敷の中に入り、珱姫は台所に立った。
釜戸に火をくみ、釜でご飯を炊く準備をし、その間に式神が野菜や肉を買って来た。
食事の支度が終わると、晴明の元に珱姫は行った。
「晴明様。」
「珱姫。」
珱姫は晴明に膝枕をし、扇子でぱたぱたと晴明を仰いだ。
「これが1番好きや。
気持ちええな…。」
「寝ないでくださいよ?
もう時期、夕飯の刻ですから。」
「分かってる。
大丈夫や。」
そんな事を言いながら、晴明から聞こえるのは寝息…。
「あ、やっぱり寝ましたね?!」
すやすやと眠る晴明に、何も言えなくなる珱姫。
夕飯時、式神が夕食を持ってきた。
お膳を並べ、晴明と珱姫が食べれるように、準備した。
それでも起きない晴明…。
珱姫は、何とか起こそうと奮闘。
その末、晴明は起きた。
「ごめん…。
寝てた…。」
「知ってます。
夕飯の時刻です。」
「そうか。
ほな、食べようか。」
「はい。」
珱姫は式神に、お酒の準備をさせた。
「晴明様、おひとつ…。」
「あぁ、すまない…。」
晴明と珱姫は、食事の後、天体観測をしに外に出た。
夜空には、沢山の星が光っていた。
晴明は無邪気に星のことを語り出した。
珱姫は晴明の言う星を眺めたり、話しに相槌を打ったりしながら、自身も覚えるように頑張った。
ゆったりとした時間が流れ、2人は幸せを感じていた。
そこに、式神が来た。
「珱姫様。
大変でございます。
この入口を探そうとしている者がいます。」
そう。
この吉備の屋敷の入り口には、結界が張られていて、見つからないようにしていた。
「結界は?」
「破られていません。」
「じゃあ、まだ結界は破られてないのね?」
「はい。」
「それなら、見つかることはないわ。
でも、一応、警戒はしておいて。」
「はい。」
式神達が、見張りながら、入り口の周りを警備していた。
式神の1体が声をかけられた。
「もし。
この辺に、安倍晴明様のお屋敷はございませんか?」
式神は無い。と答えた。
しかし、その老婆は、昼間式神が食材を買って入っていくとこを見た。と言い、引き下がらない。
困った式神は、老婆と入口を探すことになった。
他の式神達は話し合い、珱姫に報告する為、1体が屋敷に戻った。
その報告を聞いた珱姫は、晴明に伝えた。
晴明は、入り口が分からなくとも、式神の事が知られたら、陰陽師がいると噂になる。と言った。
「どうしましょうか?」
「老婆に今回だけ、特別に入って来てもらおう。
もし、誰かに話せば都に帰ると伝えなさい。」
「分かりました。」
珱姫は、式神達に伝えた。
老婆といた式神が、老婆に話した。
「もし、晴明様の屋敷が分かったら、何をするつもりなのですか?」
「実は…私には娘がいまして…その娘の様子がおかしいので、見てもらいたいのです。」
「なるほど…。
おかしいとは、どの様に?」
「いきなり、叫び出すのです。
叫び出す刻は、決まってません。
医者にも見せましたが、医者では分からない。と言われまして…。」
「なるほど…。」
入り口のとこで、珱姫が待っていた。
「お待ちしておりました。
こちらが、入り口になります。
どうぞ、お入りください。」
「はぁ…ぁ…。
貴女は?」
「わたくしは、晴明様の妻の珱姫です。
どうされたのかは、わたくしの式神で知りました。
夫も、話しを聞き、助けたいと申しております。
最初に申し上げておきたいのですが、ここの入り口は、外から分からないようになっていて、わたくし達が許した者しか入れません。
安易に入れないと言うことで、勿論、ここのことはご内密にお願いします。」
「分かりました。
貴女も、陰陽師ですか?」
「そうです。」
「何故、都からこちらへ?」
「ここは、ゆっくりと天体観測が出来て、ゆっくりと時間が流れるので、よく来ているのです。」
「そうだったんですか…。」
「着きました。
星を眺めているのが晴明様です。
晴明様。
お連れしました。」
「珱姫。
ようこそ、いらっしゃいました。
僕に頼み事があるとか…。」
「そうなんです!
もう、頼れるのは、貴方しか居なくて…。
どうか、娘を見ていただけないでしょうか?
お願いします。
もし、助けていただいたなら、私の畑にあるもの、滞在中はいくらでも差し上げます。
ですから、どうか!」
「頭を上げてください。
畑の件は、僕らが成功したら、いただきます。
早速ですが、娘さんに会わせてください。」
「分かりました。」
老婆は、晴明の屋敷を出て、晴明達を自宅に案内した。
「ここが、我が家です…。
今、叫んでるのが娘です。」
「分かりました。
どんな状況かを見るのに、珱姫の式神で様子見させていただきます。
いいですか?」
「はい。」
老婆の言葉を聞き、珱姫は式神を7体出し、屋敷に潜入させた。
「どうや?」
「娘さんですが、こうなる前に、男性とお付き合いされてたことなどありますか?」
「はい!
あります!
とんでもなく悪い奴で、婚姻関係があるのに、娘と付き合っていて、娘に子どもができた途端、娘を捨てたんです。
娘の子は、私の子として育ててます。」
「なるほど…。
その男性に未練があるんですね。」
「そうです。」
「分かりました。
家の中見せていただきましたが、娘さんが叫んでる以外は何も無いので、このまま入ります。
晴明様。
青龍の力がいるかもしれません。」
「分かった。
珱姫が呼び出す?
僕のやったら、怖がるやろし…。」
「そうですね。
わたくしが出します。」
「ほな、入ろか。」
「はい。」
晴明と珱姫は、中に入った。
「珱姫、娘さんの方に、式神飛ばせる?」
「勿論です。」
「ほな、お願い。」
「はい。」
珱姫はお酒の式神を、5体出した。
「娘さんの部屋に入って、様子を映し出して。」
式神達は、頷き部屋に入った。
珱姫と晴明は、式神のお酒から、娘の様子を観察した。
「大丈夫そうやな。」
「はい。」
晴明と珱姫は老婆に、部屋の中に入る許可をもらった。
「晴明様、わたくしから入ります。」
「分かった。
気をつけるんやで?」
「はい。」
珱姫が中に入ると、娘は睨んだ。
「初めまして。
わたくしは珱姫と申します。」
珱姫を見た娘は、叫ぶのを止め、珱姫を睨んだ。
「珱姫…?
何者?」
「安倍晴明様の妻です。
夫も来ております。
入ってもよろしいですか?」
「いいでしょう。」
晴明も部屋に入った。
娘は自分のことを語り出した。
「あたしは、1人の男性に恋をしました。
その方が、既婚と知らずに…。
でも、諦められなくて…。」
「お辛いでしょう…。
ですが、このまま、男性を思い続け、叫んでいると、良く無いことになります。
どうされたいですか?」
「どうされたいとは?
もし、あたしが男性と寄りを戻したいと思えば、そうしてくれるのですか?」
「それは…。
どうしても、寄りを戻したいですか?」
「はい。
あたしだけのものにしたいです。」
「分かりました。
やってみましょう。
ただ、男性が拒否した場合、お諦めください。
これだけはお守りくだることを、お約束して頂けますか?」
「分かりました!
約束しましょう!」
珱姫は式神のお酒を5体、桜を3体、炎を3体、青龍を5体出した。
お酒2体と青龍を2体残し、他の式神を男性の方に送った。
男性側のお酒の式神から届いた、映像は男性の姿を映した。
「あぁ…あおと様…。」
「これから、残酷な映像になるかもしれませんが、ご覚悟をお決めください。」
「分かりました。」
引き続き、映像を見る娘。
映像の中に映る男性が、1人の女性に優しく寄り添った。
「その女性があおと様の妻ですか?」
「そうです。」
「そうなんですね…。
お綺麗な方…。
これじゃ、捨てられても仕方ないですよね…。」
「これから、見ていてください。」
「はい。」
珱姫は式神に悪戯するように命令した。
あおとと妻は怯え出し、あおとは妻を置いて外に逃げ出した。
その後を必死で、追いかける妻。
この様子を見ていた娘は、冷めた目で見るようになった。
「いかがです?
まだ見ますか?」
「いいえ。
もう充分です。
まさか、女性を置いて逃げ出すなんて…。
最低です。
目が覚めました。」
「そうですか。」
娘は老婆に抱きついた。
「ごめんなさい!
心配したよね…。
これからは強くなるから…。
お母さん。
これからは、強く生きるから。」
「いいんだよ。
ゆっくりで。」
「では、わたくし達は帰ります。」
「本当にありがとうございました。
お約束通り、畑の物を持って行ってください。」
「ありがとうございます。
もし、また何かあれば、教えてください。
わたくしでよければ、参りますので。」
「ありがとうございます。
ありがとうございます。」
老婆は何度も何度もお礼を言ってくれた。
「畑の場所をお教えします。
ついて来てください。」
「分かりました。
珱姫、頼んだ。」
「分かりました。」
老婆と珱姫は、老婆の畑に行った。
「こんなに野菜作ってるんですね。
すごーいっっ!!」
「どの野菜でも持って行ってください。」
「ありがとうございます。
早速、いただいていいですか?」
「勿論です。」
「ありがとうございます。」
珱姫は、野菜を頂いて帰ることに…。
そこに、晴明が来た。
「珱姫、どうや?」
「沢山の野菜があって天国です。」
「そうか…。」
「そちらは、どうなりました?」
「体から出んようにはした。」
「あとは、彼女の意志のみですね。」
「そうやね。
彼女には、今後の事を話しておいた。
何か起きた時には、すぐに呼んでくれ。と…。
あとは、彼女が生き霊になるかどうかだけやね。」
「そうですね。
母親にその事は?」
「話しておいたよ。」
「ありがとうございます。
じゃあ、野菜持って帰りましょう。」
「そうやな。」
晴明と珱姫は、沢山の野菜を持って帰った。
次の日、警戒はしていた晴明と珱姫。
でも、何も起こらなかった。
2人は安心していた。
ある日、いつものように、野菜をいただきに行くと、娘が待ち構えていた。
「どうしたんですか?」
「実は…あの腰抜け野郎が、息子をとりに来ると言い出しまして…。
どうにかなりませんか?」
「では、もう一度、悪戯しましょうか?」
「お願いできますか?」
「いいですよ。
毎日、お野菜いただいてますし…。」
「それは、助けていただいたお礼です。」
「今日の悪戯は、少々キツいものになります。
お母様と息子さんを連れて、屋敷まで来て頂けますか?」
「分かりました。」
老婆と娘親子は、すぐに来た。
「では、悪戯していきますね。」
珱姫の合図で式神達が、あおとを怖がらせ始めた。
あおとの顔は真っ青…。
早々に家を出た。
それからは、あおとの姿を見なくなった。
あおとの妻は、あおとを探すこともなく、郷に帰った。と聞いた。
老婆と娘は、晴明と珱姫に何度も感謝の言葉を言った。
「珱姫…。
ここは、やはり落ち着くなぁ…。」
「はい。
皆で、荷物を整頓して、掃除して。」
「かしこまりました。」
「式神が足りなかったら言って。
増やすから。」
「かしこまりました。」
式神達は、早速掃除から始める者と荷解きする者とに分かれて、行動し始めた。
晴明と珱姫は、今宵の天体観察の準備に入った。
式神達が、掃除と荷解きを終わらせると、晴明は屋敷の中に入り、珱姫は台所に立った。
釜戸に火をくみ、釜でご飯を炊く準備をし、その間に式神が野菜や肉を買って来た。
食事の支度が終わると、晴明の元に珱姫は行った。
「晴明様。」
「珱姫。」
珱姫は晴明に膝枕をし、扇子でぱたぱたと晴明を仰いだ。
「これが1番好きや。
気持ちええな…。」
「寝ないでくださいよ?
もう時期、夕飯の刻ですから。」
「分かってる。
大丈夫や。」
そんな事を言いながら、晴明から聞こえるのは寝息…。
「あ、やっぱり寝ましたね?!」
すやすやと眠る晴明に、何も言えなくなる珱姫。
夕飯時、式神が夕食を持ってきた。
お膳を並べ、晴明と珱姫が食べれるように、準備した。
それでも起きない晴明…。
珱姫は、何とか起こそうと奮闘。
その末、晴明は起きた。
「ごめん…。
寝てた…。」
「知ってます。
夕飯の時刻です。」
「そうか。
ほな、食べようか。」
「はい。」
珱姫は式神に、お酒の準備をさせた。
「晴明様、おひとつ…。」
「あぁ、すまない…。」
晴明と珱姫は、食事の後、天体観測をしに外に出た。
夜空には、沢山の星が光っていた。
晴明は無邪気に星のことを語り出した。
珱姫は晴明の言う星を眺めたり、話しに相槌を打ったりしながら、自身も覚えるように頑張った。
ゆったりとした時間が流れ、2人は幸せを感じていた。
そこに、式神が来た。
「珱姫様。
大変でございます。
この入口を探そうとしている者がいます。」
そう。
この吉備の屋敷の入り口には、結界が張られていて、見つからないようにしていた。
「結界は?」
「破られていません。」
「じゃあ、まだ結界は破られてないのね?」
「はい。」
「それなら、見つかることはないわ。
でも、一応、警戒はしておいて。」
「はい。」
式神達が、見張りながら、入り口の周りを警備していた。
式神の1体が声をかけられた。
「もし。
この辺に、安倍晴明様のお屋敷はございませんか?」
式神は無い。と答えた。
しかし、その老婆は、昼間式神が食材を買って入っていくとこを見た。と言い、引き下がらない。
困った式神は、老婆と入口を探すことになった。
他の式神達は話し合い、珱姫に報告する為、1体が屋敷に戻った。
その報告を聞いた珱姫は、晴明に伝えた。
晴明は、入り口が分からなくとも、式神の事が知られたら、陰陽師がいると噂になる。と言った。
「どうしましょうか?」
「老婆に今回だけ、特別に入って来てもらおう。
もし、誰かに話せば都に帰ると伝えなさい。」
「分かりました。」
珱姫は、式神達に伝えた。
老婆といた式神が、老婆に話した。
「もし、晴明様の屋敷が分かったら、何をするつもりなのですか?」
「実は…私には娘がいまして…その娘の様子がおかしいので、見てもらいたいのです。」
「なるほど…。
おかしいとは、どの様に?」
「いきなり、叫び出すのです。
叫び出す刻は、決まってません。
医者にも見せましたが、医者では分からない。と言われまして…。」
「なるほど…。」
入り口のとこで、珱姫が待っていた。
「お待ちしておりました。
こちらが、入り口になります。
どうぞ、お入りください。」
「はぁ…ぁ…。
貴女は?」
「わたくしは、晴明様の妻の珱姫です。
どうされたのかは、わたくしの式神で知りました。
夫も、話しを聞き、助けたいと申しております。
最初に申し上げておきたいのですが、ここの入り口は、外から分からないようになっていて、わたくし達が許した者しか入れません。
安易に入れないと言うことで、勿論、ここのことはご内密にお願いします。」
「分かりました。
貴女も、陰陽師ですか?」
「そうです。」
「何故、都からこちらへ?」
「ここは、ゆっくりと天体観測が出来て、ゆっくりと時間が流れるので、よく来ているのです。」
「そうだったんですか…。」
「着きました。
星を眺めているのが晴明様です。
晴明様。
お連れしました。」
「珱姫。
ようこそ、いらっしゃいました。
僕に頼み事があるとか…。」
「そうなんです!
もう、頼れるのは、貴方しか居なくて…。
どうか、娘を見ていただけないでしょうか?
お願いします。
もし、助けていただいたなら、私の畑にあるもの、滞在中はいくらでも差し上げます。
ですから、どうか!」
「頭を上げてください。
畑の件は、僕らが成功したら、いただきます。
早速ですが、娘さんに会わせてください。」
「分かりました。」
老婆は、晴明の屋敷を出て、晴明達を自宅に案内した。
「ここが、我が家です…。
今、叫んでるのが娘です。」
「分かりました。
どんな状況かを見るのに、珱姫の式神で様子見させていただきます。
いいですか?」
「はい。」
老婆の言葉を聞き、珱姫は式神を7体出し、屋敷に潜入させた。
「どうや?」
「娘さんですが、こうなる前に、男性とお付き合いされてたことなどありますか?」
「はい!
あります!
とんでもなく悪い奴で、婚姻関係があるのに、娘と付き合っていて、娘に子どもができた途端、娘を捨てたんです。
娘の子は、私の子として育ててます。」
「なるほど…。
その男性に未練があるんですね。」
「そうです。」
「分かりました。
家の中見せていただきましたが、娘さんが叫んでる以外は何も無いので、このまま入ります。
晴明様。
青龍の力がいるかもしれません。」
「分かった。
珱姫が呼び出す?
僕のやったら、怖がるやろし…。」
「そうですね。
わたくしが出します。」
「ほな、入ろか。」
「はい。」
晴明と珱姫は、中に入った。
「珱姫、娘さんの方に、式神飛ばせる?」
「勿論です。」
「ほな、お願い。」
「はい。」
珱姫はお酒の式神を、5体出した。
「娘さんの部屋に入って、様子を映し出して。」
式神達は、頷き部屋に入った。
珱姫と晴明は、式神のお酒から、娘の様子を観察した。
「大丈夫そうやな。」
「はい。」
晴明と珱姫は老婆に、部屋の中に入る許可をもらった。
「晴明様、わたくしから入ります。」
「分かった。
気をつけるんやで?」
「はい。」
珱姫が中に入ると、娘は睨んだ。
「初めまして。
わたくしは珱姫と申します。」
珱姫を見た娘は、叫ぶのを止め、珱姫を睨んだ。
「珱姫…?
何者?」
「安倍晴明様の妻です。
夫も来ております。
入ってもよろしいですか?」
「いいでしょう。」
晴明も部屋に入った。
娘は自分のことを語り出した。
「あたしは、1人の男性に恋をしました。
その方が、既婚と知らずに…。
でも、諦められなくて…。」
「お辛いでしょう…。
ですが、このまま、男性を思い続け、叫んでいると、良く無いことになります。
どうされたいですか?」
「どうされたいとは?
もし、あたしが男性と寄りを戻したいと思えば、そうしてくれるのですか?」
「それは…。
どうしても、寄りを戻したいですか?」
「はい。
あたしだけのものにしたいです。」
「分かりました。
やってみましょう。
ただ、男性が拒否した場合、お諦めください。
これだけはお守りくだることを、お約束して頂けますか?」
「分かりました!
約束しましょう!」
珱姫は式神のお酒を5体、桜を3体、炎を3体、青龍を5体出した。
お酒2体と青龍を2体残し、他の式神を男性の方に送った。
男性側のお酒の式神から届いた、映像は男性の姿を映した。
「あぁ…あおと様…。」
「これから、残酷な映像になるかもしれませんが、ご覚悟をお決めください。」
「分かりました。」
引き続き、映像を見る娘。
映像の中に映る男性が、1人の女性に優しく寄り添った。
「その女性があおと様の妻ですか?」
「そうです。」
「そうなんですね…。
お綺麗な方…。
これじゃ、捨てられても仕方ないですよね…。」
「これから、見ていてください。」
「はい。」
珱姫は式神に悪戯するように命令した。
あおとと妻は怯え出し、あおとは妻を置いて外に逃げ出した。
その後を必死で、追いかける妻。
この様子を見ていた娘は、冷めた目で見るようになった。
「いかがです?
まだ見ますか?」
「いいえ。
もう充分です。
まさか、女性を置いて逃げ出すなんて…。
最低です。
目が覚めました。」
「そうですか。」
娘は老婆に抱きついた。
「ごめんなさい!
心配したよね…。
これからは強くなるから…。
お母さん。
これからは、強く生きるから。」
「いいんだよ。
ゆっくりで。」
「では、わたくし達は帰ります。」
「本当にありがとうございました。
お約束通り、畑の物を持って行ってください。」
「ありがとうございます。
もし、また何かあれば、教えてください。
わたくしでよければ、参りますので。」
「ありがとうございます。
ありがとうございます。」
老婆は何度も何度もお礼を言ってくれた。
「畑の場所をお教えします。
ついて来てください。」
「分かりました。
珱姫、頼んだ。」
「分かりました。」
老婆と珱姫は、老婆の畑に行った。
「こんなに野菜作ってるんですね。
すごーいっっ!!」
「どの野菜でも持って行ってください。」
「ありがとうございます。
早速、いただいていいですか?」
「勿論です。」
「ありがとうございます。」
珱姫は、野菜を頂いて帰ることに…。
そこに、晴明が来た。
「珱姫、どうや?」
「沢山の野菜があって天国です。」
「そうか…。」
「そちらは、どうなりました?」
「体から出んようにはした。」
「あとは、彼女の意志のみですね。」
「そうやね。
彼女には、今後の事を話しておいた。
何か起きた時には、すぐに呼んでくれ。と…。
あとは、彼女が生き霊になるかどうかだけやね。」
「そうですね。
母親にその事は?」
「話しておいたよ。」
「ありがとうございます。
じゃあ、野菜持って帰りましょう。」
「そうやな。」
晴明と珱姫は、沢山の野菜を持って帰った。
次の日、警戒はしていた晴明と珱姫。
でも、何も起こらなかった。
2人は安心していた。
ある日、いつものように、野菜をいただきに行くと、娘が待ち構えていた。
「どうしたんですか?」
「実は…あの腰抜け野郎が、息子をとりに来ると言い出しまして…。
どうにかなりませんか?」
「では、もう一度、悪戯しましょうか?」
「お願いできますか?」
「いいですよ。
毎日、お野菜いただいてますし…。」
「それは、助けていただいたお礼です。」
「今日の悪戯は、少々キツいものになります。
お母様と息子さんを連れて、屋敷まで来て頂けますか?」
「分かりました。」
老婆と娘親子は、すぐに来た。
「では、悪戯していきますね。」
珱姫の合図で式神達が、あおとを怖がらせ始めた。
あおとの顔は真っ青…。
早々に家を出た。
それからは、あおとの姿を見なくなった。
あおとの妻は、あおとを探すこともなく、郷に帰った。と聞いた。
老婆と娘は、晴明と珱姫に何度も感謝の言葉を言った。