強引社長は才色兼備のOLにご執心 ~そのキス、どういうつもりですか?~
「え、芹澤…? なんで、桐谷さんが来るんじゃ…」

…前言撤回。この人重症かも。声に覇気がまるでないし、呂律もあまり回ってなくてどこかふわふわしている。私の姿を見てもわずかに目を見開くだけで頭が働いていない感じだ。桐谷さんから私が来ることは聞いてるはずなのに、不思議そうに目をぱちぱちするのでスマホも見ていないのだろう。

「桐谷部長がお忙しいようなので、代わりに様子を見てくるよう頼まれました。 社長、冷えるので中入ってください。私もお邪魔しますよ」

私の任務は主に3つ。社長の無事を確認すること、桐谷部長にその連絡を入れること、必要があれば看病すること。これは3つ目まで遂行する必要がありそうだ。

今は4月で日中は暖かいけれど、日の当たらないところは肌寒く感じる時期でもある。
ぽやぽやしている社長をぐいぐい押し込んで、半ば無理やり部屋に入った。

足元を見て、いつも履いてる革靴が散らかっているに気づく。それどころか格好もスーツのままだ。ネクタイはかろうじて緩めたといった感じで外されてはいない。社長が強制的に帰らされてから私が来るまで、それなりに時間はあったはずなのに。…これは、来て正解すぎたな。

「とりあえず着替えてください」
「あー、うん…」
< 38 / 62 >

この作品をシェア

pagetop