強引社長は才色兼備のOLにご執心 ~そのキス、どういうつもりですか?~
「うま。 うまいぞ、芹澤」
「それは良かったです」

この前のハンバーガーみたいな勢いはやっぱりないけれど、それでも余裕で完食してくれた社長を再びベッドに押し込む。

「もう帰るのか?」

不意に、社長がそんなことを言う。お盆を持って立ち上がろうとしたのに、その声音があまりに寂しく響いたから動きを止めた。

「これ、片付けたら帰りますよ。 一静さん、寝てれば治るようですし、私はお役御免です」

少し冷たくしすぎたかもと思ったけれど、これでいいのだと思い直す。ご飯を食べた彼は、私が来た時よりは確実に回復している。口数の多さが何よりの証拠。引き際だと、私の中の防御センサーが警鐘を鳴らす。

「行くな。 俺が寝るまでここにいろ」
「…会社、戻らないとなので。社長も不在で、何かあったらたいへ…――」

社長の弱った姿に惑わされまいと気を引き締めていたのに、布団から伸びてきた熱を帯びる手に引き寄せられる。私はベッドの縁に手を付き、寝たままの社長と一気に距離が近くなる。

「そんなの、桐谷さんがどうにかするでしょ。 それよりさ、冷静に考えるとこの状況、俺にとってめちゃくちゃ美味しいんだよね」
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