このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
 イリヤの言葉にクライブは「お前は、面白いことを言うな」と笑った。
「あの。こういったことを聞いていいのかわからないのですが……」
「なんだ?」
 イリヤはクライブが母と何を話したのかが気になっていた。けして二人の仲を疑うとか、そういったことではなくて、あの二人の会話の内容が気になったのだ。
「母とはどのようなお話を?」
「ああ、そのことか」
 彼の表情がやわらぐ。となれば、やはり後ろめたいことは話していないのだろう。
「私の悪口、とかではないですよね?」
「相変わらず、お前は面白いことを言うな」
 クライブが、ふっと鼻で笑うと、マリアンヌが身体をピクッと震わせた。
「危ない……目を覚ます、ところだったか?」
「寝たばかりだから大丈夫だと思いますけど。もっと、こう。身体に密着させるように抱っこすると、よく寝ます」
「なるほど」
 イリヤの言葉に従い、彼がマリアンヌを抱き直す。マリアンヌの頭はぴたっとクライブの胸元にくっついた。
「それで……ああ、イリヤの母親との話か。まぁ、イリヤの悪口ではないから安心しろ」
「どんな話を?」
「なんだ、気になるのか?」
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