このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
「顔を真っ赤にしてる」
慌てて立ち上がってクライブを振り返ると、彼は「頼んだ」と言う。クライブがマリアンヌにミルクをあげたりおしめをかえたりすることは、今のところない。そのために、乳母や侍女をつけたといえばそれまでであるが。
だからこういったときは、必然的にイリヤがマリアンヌの世話をするわけで、それを嫌だとかクライブに向かってやってくれと頼むとか、今のところそういったものはない。
ただクライブも、マリアンヌを風呂に入れてくれるようになった。これは、エーヴァルトに自慢するためらしい。マリアンヌと一緒に風呂に入ったと彼に自慢するのが、最近の楽しみだと言っていたので、やはりクライブは腹黒い。
イリヤは慌ててマリアンヌを抱き上げると、用意された部屋でささっとおむつを交換した。そうやってマリアンヌの世話をしている間、クライブは難しい面持ちで母と話をしていた。対して彼女も、真剣な表情で話を聞き、頷く。
二人で何を話しているのか気になったが、マリアンヌと一緒に三人の妹たちと囲まれることになった。
昼食を一緒に食べたあと、マーベル子爵邸を後にする。
マリアンヌは遊び疲れたのか、馬車の中ではぐっすりと眠っている。
「重いだろう。預かる」
クライブは立ち上がって、すっかりと寝入ったマリアンヌをイリヤから奪う。
クライブの腕の中ですやすやと眠るマリアンヌ。目の前のその光景を、イリヤはじっくりと見てしまった。
「どうかしたのか?」
クライブとマリアンヌの黒い髪は、こうやって見ると似ているような気がする。
「……いえ。まぁ、親子に見えなくもないかなと。閣下とマリーの髪の色が同じですから」
「なるほど。では、それもあいつに自慢するとしよう」
「まぁ、あれですね。閣下は髪だけでなく、その腹の底も真っ黒ってことですね」
慌てて立ち上がってクライブを振り返ると、彼は「頼んだ」と言う。クライブがマリアンヌにミルクをあげたりおしめをかえたりすることは、今のところない。そのために、乳母や侍女をつけたといえばそれまでであるが。
だからこういったときは、必然的にイリヤがマリアンヌの世話をするわけで、それを嫌だとかクライブに向かってやってくれと頼むとか、今のところそういったものはない。
ただクライブも、マリアンヌを風呂に入れてくれるようになった。これは、エーヴァルトに自慢するためらしい。マリアンヌと一緒に風呂に入ったと彼に自慢するのが、最近の楽しみだと言っていたので、やはりクライブは腹黒い。
イリヤは慌ててマリアンヌを抱き上げると、用意された部屋でささっとおむつを交換した。そうやってマリアンヌの世話をしている間、クライブは難しい面持ちで母と話をしていた。対して彼女も、真剣な表情で話を聞き、頷く。
二人で何を話しているのか気になったが、マリアンヌと一緒に三人の妹たちと囲まれることになった。
昼食を一緒に食べたあと、マーベル子爵邸を後にする。
マリアンヌは遊び疲れたのか、馬車の中ではぐっすりと眠っている。
「重いだろう。預かる」
クライブは立ち上がって、すっかりと寝入ったマリアンヌをイリヤから奪う。
クライブの腕の中ですやすやと眠るマリアンヌ。目の前のその光景を、イリヤはじっくりと見てしまった。
「どうかしたのか?」
クライブとマリアンヌの黒い髪は、こうやって見ると似ているような気がする。
「……いえ。まぁ、親子に見えなくもないかなと。閣下とマリーの髪の色が同じですから」
「なるほど。では、それもあいつに自慢するとしよう」
「まぁ、あれですね。閣下は髪だけでなく、その腹の底も真っ黒ってことですね」