身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
「他人事だからって、そこまで笑わなくてもいいじゃないですかっ!」


「ごめんごめん。でも、おかげでますますきみのことが気に入ったよ。日和」


そう言って一葉さんは、くしゃっとした笑顔を向けた。


普段はクールで大人っぽいけど、本当に面白い時はこんな顔で笑うんだ――……。


「ちょっ、二人とも今の聞いた⁉︎」


理音さんが大河と棗に手招きをして話しかける。


「聞きました! 日和さんを気に入ったって……」


「しかも、めっちゃ笑ってるし……。って、日和どうした? 照れてる?」


「やっ……、別にそんなことないから!」


本当は自分でもわかるぐらい、かあっと熱を帯びた顔をこれ以上4人に見られないように、慌ててそっぽを向く。


ふと、視界に入った窓ガラスには、熱でもあるんじゃないかってぐらい、真っ赤になった自分の顔が映り込んでいた。



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