身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
「昔、platinumの屋敷でお前を見たことがあったから」



棗の告白に、私の頭に雷が落ちたような衝撃が走った。



「……う、嘘でしょ⁉︎」



「嘘じゃない」



「で、でも……そんなのあり得ない!」



――だって、あの屋敷は建物自体は古いけど、門は厳重にセキュリティ管理がされているんだ。



部外者の潜入が不可能なのはもちろん。



もし、敷地に入れたとしてもすぐにメンバーにバレて、
生きて帰って来れるかわからないぐらいボコボコにされてもおかしくない話なのに。



「私を見たっていつなの? 具体的な時期とか言える?」



「ちょうど去年の今頃だな。ほら、あの無駄にデカい屋敷のホールで、総長就任パーティーがあったの覚えてるか?」



「あっ、うん……」



「その時に、お前がホールの大階段に出てきてさ、『桐生ひよりです』って、自己紹介してるところを見たってわけ」


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