彼は推しと瓜二つ
尾形「おはよーございまーす!」

元気よく尾形が出勤する。

尾形「門倉先輩、今日もお願いします!
お客様いるんですから、そんな辛気臭い顔しないで笑顔でいきましょ‼︎」

門倉「……まぁ……はい……」

門倉(この新人アルバイト、尾形百合絵がやって来てから俺の平穏なバイト生活は一変した…)

音「…門倉くん、大丈夫……?」

門倉「…あーゆー人種は苦手です………。」

音「人種って……。ま、まぁ、尾形さんが一人立ち出来たらシフトは被らないと思うから…」

門倉「恋人や好きな人、推しがいないなんておかしいって言うんですよ。ああいった人種はそれが当然だと思って、当てはまらない奴らを可哀想な人扱いする。
別に俺はそれで悲観してないし、趣味のおかげで人生楽しいんですけど。
人のテリトリーにもズケズケ来るし、何なんですかね、ほんと。」

音「……珍しく饒舌だね………。
  というか、門倉くんがそこまで他人の事を気にするのって今まであまり無かったよね。」

門倉「自分に関係ない事なら気にしませんが…あの人は別です。」

音「けど、それってちょっと良い方向だったり?愛の反対は嫌いじゃ無くて無関心って言うくらいだし、今は良い感情じゃなくても、気になるって事だし……」


門倉「すぐそーやって恋愛に結びつけるのやめてください。少女漫画の読み過ぎです。」

音「……すみません…。」
音(少女漫画とか読むんだ……)

音はそさくさと離れる


尾形は客足が途絶え、指導係である音が一旦離れた後、後ろのレジにいる門倉に話しかけてきた。

尾形「門倉さん、さっき杉山さんとめっちゃ喋ってましたよね?!何話してたんですか??」

門倉「仕事の話ですけど……尾形さんには関係無いので大丈夫です。」

尾形「そうなんですか?門倉さんってあまり話さないイメージだったのに、すごい話してる感じでしたよね…」

門倉(何が言いたいんだこの人は……
小声だったし離れてたから聞こえていないはずだけど…)
門倉「別に、本当にただの業務連絡です。」

尾形「……門倉さんは、杉山さんの事ってどう思ってます??」


門倉「……は?」
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