彼は推しと瓜二つ
門倉(そういえば、俺がgoalを知ったのは1年生の時の春休みに入るタイミングの時だった。)

《回想》
◯門倉が通う専門学校のとある教室

同級生の子「お願い!!!明日のライブ行くの付き合って!!!」

門倉「何で、俺……?」

同級生「一緒に行く予定だった子がインフルエンザになっちゃって……。
私がガチオタなのは学校の子に言ってないし、ライブとかの姿見見られたら引かれるだろうなーって……。
門倉なら気にしないし、他の人にも言ったりしないから……。
明日はバイトも無いって言ってたでしょ?」


門倉「……まぁ、暇だから良いけど。」
門倉(興味は無いけど、杉山さんが好きって言ってた気がするし、まぁ、人生経験としてどんなもんか見てみるか。)

◯ライブ会場

周りは女性ファンで溢れているが、チラホラと男性の姿も見られる。
門倉は初めて見る光景に、忙しなく辺りを見回した。

同級生「やばいよ、アリーナ席だし、目の前に来ちゃうかも!!」

会場が暗くなり、ペンライトが綺麗に光っている

JUN「行くぜ東京ーーーーー!!」

大音量と共に大声援が響く

同級生「ぎゃーーーMITSUKIーーーーーー!」

MITSUKIが目の前の花道に来て踊っている。
同級生はMITSUKIのうちわと、ペンライトを黄色にして必死に振っている。

門倉(あれがMITSUKIか…。杉山さんも好きなんだったっけ…?)

MITSUKIは目の前の同級生に気づいたのか、こちらの方に目線を送って手を振った。

同級生「ギャーーーー!!♡♡」

門倉(声援というより悲鳴だ……)

門倉は同級生の事はさほど気にせず、目の前のMITSUKIをじっと見つめる。

門倉(予習しといてと言われて、昨日はMVをずっと見てたけど……なんか雰囲気が違うな。
どこだ………?)

門倉は無表情でMITSUKIを食い入る様に見て考えていた。

MITSUKI(……なんかあの男から変な目線めっちゃ感じる……彼女にファンサ送ったからキレてんのか…?)


門倉(ダンスかな?
MVよりもキレが良いし、顔つきも違う。
どことなくアイドルというより、アーティスト性を感じる。
生で観てるからそう感じるだけか…?)


シルクハットを使った演出や、キャップを被った衣装など、バリエーション豊富なステージ。
MITSUKIは目の前の花道に来ることが多かった。


◯ライブ会場の外

人がゾロゾロと最寄駅の方へと向かって歩いていく

門倉「さすがの俺でも、立ち姿だけでMITSUKIと判別できるようになってしまった……」

同級生「あはは。MITSUKIくん最高でしょ?!
門倉なら同担になっても良いよ!」


門倉「それは無いけど………MITSUKIが街中で変装してても気付く自信はあるな。」

◯回想が終わり、再び現在。スーパーの売り場


門倉(小さな爬虫類の観察ばっかりしてるせいか、人の細かい見た目の変化にもすぐ気付いちゃうんだよなぁ。
まぁ、気付いても口に出さないから、それで後から怒られる事はよくあるけど……。

あの新人バイトみたいにズケズケ行くのは俺には到底理解できん。)

< 22 / 57 >

この作品をシェア

pagetop