彼は推しと瓜二つ
7.雅之side
◯雅之の自宅マンション前


雅之(……さて、光之にどうやって伝えようか…………
帰り道で考えようと思ったのに、あの人の事ばかり頭に浮かんできてしまって、何も考えれなかった……)

雅之「あぁ〜!しっかりしろ俺……」

頭を掻きむしると、夜空を見上げた

(思えばあれが、人生初の一目惚れの瞬間だった…)


◯回想シーン
雅之達の部屋。引越し前の部屋のリビング


光之と雅之はソファに座り、男性マネージャーが立ったまま説明をする

雅之(引越しをする事になった。
KEIのドラマが大ヒットした事でgoalの知名度も上がったため、マスコミや周囲の人にバレる事が無いようにと、事務所の判断でする事になった。)

マネージャー「今回は都心から少し離れてるけど、治安も良くて落ち着いた街らしい。
徒歩圏内にはコンビニとかちょっとした店くらいしか無いけど、まぁ…2人にそこは関係ないか。」

雅之「基本オレら出歩かないしね。でも会社のジムだけじゃもの足りないし、夜とかなら散歩するのは大丈夫そう?」

マネージャー「公園もあるし、20時以降は人気も少ないみたいだから、1人で少し歩く分には大丈夫だと思うけどね。」

雅之「おぉ。良いじゃんそこ!やったなミツ。」

光之「…うん。まさが気に入ったなら良かった。」


雅之(…光之は、俺がミツのワガママに付き合ってアイドルをしているとずっと思っている。
だからMITSUKIに直接関係の無い事は、いつも俺の気持ちを優先してくれる。
その気遣いが、いつもどこと無く居心地の悪さを感じてしまうんだけど……)


◯新居。段ボールがいくつか置かれたままになっている

雅之「家具とかは会社の人達と業者さんが運んでくれたし、後は自分達で頑張るぞー!」

光之「………」

1人テンションの高い雅之をよそに、光之は淡々としている。段ボールを開いて作業を始める2人。

光之「今日ってママも手伝いに来てくれたんでしょ?
いつこっち来ていつ帰ったの?」

雅之「仕事の関係で一昨日にこっち来て、今日の空いた時間にこっち来てくれたみたい。
明日の早い便で帰らないといけないから、作業がひと段落したらすぐホテルに戻っちゃったんだよね。」


光之「相変わらず忙しいんだね。改めてちゃんとお礼を送りたいからさ、何が欲しいか聞いとくれない?」


雅之「みつが聞けば良いじゃん?お礼も直接言ってあげた方がママも喜ぶよ。」

光之「…俺よりまさからの方がママも嬉しいだろうし、俺はもう英語が上手く話せないからさ。頼むよ。」

雅之「えー、そんな事無いだろ。…まぁ、今回は俺がしといておくけどさ。」

光之「ありがとう、まさ。」


雅之「…あ!そう言えばさ、こっち来る途中にスーパーあったろ?近くの。
少し離れた所に新しめの大型スーパーあったから、そっちに行く人の方が多いと思うんだよね。」

光之「………だから?」

雅之「近くのスーパーに行ってみようと思って。」


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