彼は推しと瓜二つ
9.再会
◯新宿駅のホーム

音(久々に新宿駅まで来たけど、相変わらず人の量がすごい…。
学生の時はよく都心まで出てきてたけど、新宿駅での乗り換えは今だに苦手。)

人並みにおされながら電車を乗り継ぐ

電車の外には、goalのポスター広告が見える

音(ここ数日の出来事は夢みたいだったな……。
こうやってポスターを見ると、やっぱり遠い存在なんだなって実感する。)


◯お店の前
スマホで地図を見ながらお店の方へ向かっていると、店の前に立っていた女性3人が音に気付いて見ている

かなえ「音ー!こっちこっちー!」


音「みんな久しぶりー!」

かなえ「相変わらず美人で、すぐ音だって気付いたよね。」

かなえは他の2人に同意を求め、2人も何度も頷いた。

かなえ「立ち話もあれだし、中入ろ。」

店内は全席個室のお店で、4人も店員に案内されて個室に入る。

音「…なんか、すごいオシャレで高級感あるお店だね。」

かなえ「でしょ!なのに女子会向けのコース料金がリーズナブルだから敷居もそこまで高くないんだよね。
…それにここ、業界の人も結構来るみたい。」


女1「え〜!すごい!さすが大人気の美容系インフルエンサーが選ぶお店は違うね♡」

かなえ「大人気は言い過ぎだってー。
それにここは仕事関係の人に教えてもらったの。
あ、SNSに載せたいんだけど後で写真良い?」

女2「もちろん!いつもお店の宣伝ありがと♪」

音「…2人は今ネイリストと美容師なんだよね?」

女1「そうそう。かなえの仕事柄、ずっと付き合いも続いてて。
てか、音は本当にすごい久しぶりだよね。読モ時代は4人でよく遊んでたけど。」

かなえ「あー…疎遠になっちゃったのは私が原因なんだよねぇ…。」

女2「え、そうなの?それ初めて聞いた。」

かなえ「私と音は大学の学科が同じで仲良くなったんだけどさ、3年生の時、私は本気でモデルになりたくて必死だったのに思うように行かなくて。
なのに、恵まれた容姿を持っていて、沢山スカウトも来ていた音が、あっさりと読モを辞めて就活しちゃうし、内定したと思ったらスーパーの店員だなんて言うから、
当時はすごく腹が立っちゃって……。」

音「…………。」

かなえ「自分が必死に努力してもなかなか手に入れれない物を音は生まれつき持っているのに、
別に大企業でも無ければモデル業とも関係のない道に進んだのが理解できなかったの。
私が読モに誘った時も乗り気だったし、2人でモデル目指して頑張ろうって言ってたのに、どうして?って…。
お互い忙しくて大学で会わなくなったのもあるけど、なんか私から連絡する気にはなれなくて…音からの連絡も無視しちゃってたの……。」

音「………。」

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