【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
「……不思議だな。まいさんにそんな風に言われると、自分の凝り固まった『譲れない一線』なんて、どうでもよくなってしまうよ」
「大地、それじゃあ……」
「うん。あいつを、受け容れる。……ひとつになって、僕は僕を……『赦す』よ」

やわらかな微笑みは、いつもの大地だった。
私の好きな……自分のことより、相手を思いやることができる、大地だった。

「───ごめんね、大地」
「えっ。なに、急に」
「あんたのこと……解ってやれなくて。
私……気づかないうちに、あんたの優しさに甘えてた。初めて会った時も……姉弟じゃないって、解ってからも。
ずっと……ずっとあんたが私を気遣ってくれてたんだって、やっと解った」

腕を伸ばして、大地を抱き寄せる。
力いっぱい抱きしめて、その心に響くように告げる。

「ありがとう、大地。……私の好きな、大地。
たとえあんたが消えてしまったとしても……あんたが私を想ってくれた事実だけは、ちゃんと私のなかに残るから。
だから、忘れないで。私があんたを好きなこと。何より誰より、あんたを一番に想っているってことを。
どんな『大地』だって、受け入れてあげる」

どんな大地でも───一度は難しいと思ったその言葉を、いまならはっきりと、口にできる。

私が好きなのは、ここにいる『大地』なんだって。
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