【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
「証拠! そう、証拠を見せなさいよ。ちゃんと融合が為されて、あんた達ふたりがひとつになったっていう証拠を!」

大地は、じっと私を見た。ふと、悲しそうに目を伏せる。

「まいさん……僕に言ったよね……? どんな僕でも受け入れてくれるって。僕は、まいさんのあの言葉を支えにして、治療を受けてきた。
……本当は少し、不安だったのに……また、まいさんを傷つけるようなことになったらって……」

言いながら、大地は自らの顔を両手で覆った。

「それなのに、まいさんがそんな風に僕を疑うなんて……」

肩が、震えていた。
くぐもった声が泣いてるようにも聞こえ、顔を覆う大地の手に指を伸ばして、のぞきこむ。

「疑うとか、そういうんじゃくて……。私も、本当は恐かったのよ。また《私を知らない》大地が、出てくるんじゃないかって……。
ゴメンね、大地。治療終えたばっかで、あんたも実は、情緒不安定だったりするのよね?
ね、とりあえず、車に乗って。お昼ご飯、なにがいい? あんたの好きなもの、なんでも作ってあげるから。何が食べたい?」

瞬間、文字通り、手のひらを返して私の手首をつかみ寄せ、ついでに素早く私の唇を奪った大地は、その唇でふふっと笑った。

「……まいさんの、ふっくらとした小さな可愛い唇。……ごちそうさま」
「……っ……て! あんたねぇ~っ」
< 110 / 140 >

この作品をシェア

pagetop