【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
失われた想い

1.私たちは『異母姉弟』

いつまでも休憩室の前にいるわけにもいかず、
(実際、二階の服飾店の従業員に「入らないんですか?」と、突っ込まれてしまった……)
私は休憩室に入って、携帯電話が着信を知らせるのを待った。

そうして、父さんが公衆電話から折り返し連絡をくれたのは、食べ物を受けつけない胃にあきらめをつけて、無理やり流しこんだ缶のポタージュを、半分ほど減らした時だった。

『……どうやらクラスメイトをかばって、学校の階段から落ちたらしいんだ。
医師(せんせい)の話だと命に別状はないようだが、落ちた時に頭を打ったらしくて……今、検査してもらっているところだ。
それで……ああ、いや……詳しいことは、会ってから話そう。
───とにかく、仕事が終わり次第、お前も病院に来てくれ』


*****


大地が学校から運ばれた病院は、ショッピングセンターから車で一時間ほどかかる場所にあった。

面会時間はとっくに過ぎていたため、裏口から特別にとのことで、応対に出た看護師さんに病室まで案内された。

個室しか空いてなかったと、来る途中で説明を受けていた。

だからそこには、大地しかいないはずで……病室に足を踏み入れるなり、私は大地の名を呼んだ。

「大地、大丈夫っ……!?」


───……父さんが、電話口で言葉をにごした訳は、すぐに解った───。
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