【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
トオルくんは、自分用にきつねうどんと焼おにぎりを二個用意すると、言葉通り私の前にお茶漬けを置いた。

食べる気はなかったものの、焼おにぎりに梅肉と海苔とアラレ、とどめに(かつお)のだし汁がかかっていて。
その香りを()いだら、急にお腹がすいてきて、有り難く箸に手を伸ばしてしまった。

「……だけどさぁ、それって、あいつんなかで、記憶が混乱してるってことじゃねぇの?」

私がお茶漬けを食べ終えるのと同じくらいに、トオルくんは夜食を平らげていた。

「トオルくんも、やっぱりそう思う?」
「んー……。あいつの母親との関係考えたらなぁ……つじつま合うし。
でもって佐木さんに対するあいつの気持ちが、これまた複雑だし?」
「複雑かな……?」

大地のストレート過ぎる感情表現を思いだし、首を傾げた。
トオルくんが肩をすくめる。

「好きとか愛してるとか、感情の種類を言ってんじゃなくて。
……なんつーか、こう、普通の人間が、複数に向けるはずの好意的な感情の全部をあいつは佐木さんに、注いじゃってると思うんだよね。

恋人に向くはずの恋慕う感情も母親に向くはずの盲信的な愛情も姉に向くはずの親愛も、さ。
そういう気持ちって、経験の積み重ねによって整理されていくものじゃん。
だから、断片的な記憶しか取り戻してない状態で、理性でつなぎあわせても、土台ムリな話でさ。
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