淡いピンクのカクテルは、私と彼を甘く誘う~凄腕脳外科医に溺愛されています~

再会はたくさんの花に囲まれて

「ありがとうございました」


花束を抱えて、幸せそうな笑顔で帰って行くお客様を見送った。6月も近付き、プロポーズする男性客が増えてるこの時期。

先ほどのお客様は、突如自分が支社へ転勤となりプロポーズも兼ねて彼女に花束を渡すのだそう。

その話を聞いただけでも、心がぽかぽかと暖かくなる。

彼女の雰囲気や好きな色を彼から聞き出し、ピンク色と赤色のバラ、カスミソウを組み合わせた花束を造った。

『彼女のイメージにぴったりです!』と、大喜びの彼氏。
きっと、その花束を受け取った彼女も、最高の笑顔を見せてくれるに違いない。


「素敵よね。プロポーズ」
「うわっ!? びっくりした……」


背後から突然現れた友香梨は、先ほどのお客様とのやり取りを聞いていたよう。

そんな彼女の左手薬指には、プロポーズされたときに彼から贈られた婚約指輪が輝いている。


「プロポーズ、成功するといいな」
「うん、そう思う」

「知花が造った花束を渡しながらプロポーズするんだから、間違いないわよ」

「な、なによそれ……」


友香梨にそんな風に言われ、少し照れくさい。

でも、私がいつも考えていることは〝贈る側も贈られる側も笑顔になって欲しい〟と、そう思いながら花束を造っている。
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