淡いピンクのカクテルは、私と彼を甘く誘う~凄腕脳外科医に溺愛されています~
いつか私も贈られる側になりたい……。
なんて、夢のまた夢。

私の場合、まずは相手探しからだ。しかも浮気を繰り返さない男性を。

そんなことを思いつつ、先ほど売れたバラの花たちを補充しようとしたとき。


「すみません。この赤いバラを、24本」


声にのする方へ顔を向けると、驚きの余り言葉に詰まった。


「……あ、あの」
「やっと見つけた」


視線の先には、1ヶ月前に一夜を過ごした男性が立っていた。

もう二度と会わないと思っていたのに、いったいどうしてここへ……?


「あ、あの……」
「ずっと探していたんだ。泊に聞いても『知らない』の一点張りだし」

「と……とま、り?」


なんとなく、聞き覚えのある名前。

必死に1ヶ月前の記憶を手繰り寄せて、なんとかあの日のことを思い出そうと脳みそをフル回転させる。


「バーの店員だ。あの日、一緒に話したじゃないか」
「……あっ!!」


そうだ、思い出した。

あの日失恋したことを、泊さんが彼に話した。そしてカクテルをプレゼントされて、酔っ払って、そのまま……。

今の今まで曖昧だった記憶が甦ってきた。

彼と抱き合ったときの肌のぬくもりも思い出し、急に顔が熱くなってくる。


「話は後で。とりあえず、この赤いバラが24本欲しいんだ」
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