淡いピンクのカクテルは、私と彼を甘く誘う~凄腕脳外科医に溺愛されています~

幸せなひととき

『ほらぁ! やっぱり私の言う通りだった』


お店が定休日のある朝。

まだ梅雨は開けておらず、シトシト雨が降っている6月半ばの水曜日。

電話口で興奮気味に話しているのは、岡林先生の気持ちをズバリ見抜いた友香梨。

友香梨に、バーで花束をもらって告白されたことを伝える前に悠稀の拉致(?)騒動が起きてしまい、報告するのが遅くなってしまった。


『それで? 今日はお互いの実家巡り?』
「うん。彼がお休みを合わせてくれて」

『きゃー! 〝彼〟だって!! こっちが恥ずかしくなるわ』
「………」


どこに興奮してるんだか。

でも、本当にまだ夢の中にいるみたい。

友香梨みたいにテンションが上がるわけではないけれど、ひょんなことから出会ったお医者様の岡林先生が自分の彼氏になるなんて、まだ信じられない。


『知花、奇跡の大どんでん返し』
「な、なにそれ」

『浮気男を見返してやるくらい、幸せになりなよ?』


……あ、そういうことね。
でも、すでに私の心はもう幸せでいっぱい。

この前愛し合ったときもすごく優しくしてくれたし、その上同棲も決まった。

こんなにトントン拍子に話が進んでいくことには予想外だったけれど、これから先のことが楽しみで仕方がない。


『結婚式のブーケは任せてね』
「もちろん。友香梨以外に頼むつもりないよ」
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