淡いピンクのカクテルは、私と彼を甘く誘う~凄腕脳外科医に溺愛されています~
友香梨の結婚が決まったときは、私にブーケを造って欲しいと頼まれた。

私の結婚式のときは友香梨に頼むつもりでいたが、当初はそんな予定もなく、肩を落としていた。

その約束に、少し近付いたようだ。


『知花、ありがとね』
「こちらこそだよ。じゃあ、またね」


お互いの結婚式の花束を造る約束を交わし、電話を切った。すると、すぐに画面が着信画面に切り替わる。

今度は、岡林先生からの着信だ。


『やっと繋がった』
「す、すみません。友香梨とつい長話しちゃって」

『今、知花の実家の近く』
「すぐ外出ますね」


電話を切って階段を駆け降りる。

リビングにいる両親に「彼が来たよ」と伝えると、母は慌てた様子でソファから立ち上がり、一緒に玄関まで来てくれた。

玄関のドアを開けると、スーツ姿の岡林先生がちょうど到着したようだった。


「おはようございます」


母に向かってあいさつをしている彼は、一段とかっこよく見える。


「あらぁ! イケメンだこと。前の彼氏と別れたかと思ったら、いい男捕まえてきたのね」
「やめてよ、恥ずかしい……」


あいさつもすっ飛ばして目を輝かせる母。

気持ちはわかるけど、あいさつくらいはちゃんとして欲しい。


「さぁさぁ、中に入ってちょうだい。緊張しなくてもいいからね」
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