誰よりも愛した彼
「はい、チーズ!」
パシャ!
カメラの音が響く。
幸せだな、好きな人が隣りにいるって。こんな幸せがいつまでも、いつまでも続きますように。
「あぁ〜!もう!遅れちゃうよ〜!」
一人で、ぶつくさ言ってしまう私。
今日は、クリスマスイブ。そして、大好きすぎる彼、蓮とのクリスマスデートだ。
ピロリン!
あ!蓮からメールが!
「着いたよ〜」
や、やばい!
も、もういい!これで!
急遽決まったのは、カジュアルコーデ!
「はぁ、はぁ…お、待たせ。」
全力で走ったはものの、約束の時間より二十分遅れた。
「大丈夫?水飲む?」
そう、こんな気遣いができる私の自慢の彼!
「大丈夫。」
とは、言ったもののはっきりいって疲れた…
ゆっくり歩いて、デートコースへ行く。
一つ目は、私のお父さんが経営しているミシュラン五つ星。名は「五つ星」。
そこで、私達は、朝食を食べた。
私は、「赤ワイン煮込みの和牛ステーキ」。
連は、私と同じのを頼んだ。
中学一年生がこんなの食べていいと思わないよね…
でも、家は大富豪だから大丈夫!
さぁ!
次!
海へレッツゴー!
「キャハハハ!」
甲高い声女の声がする。
ま、置いといて!
「遊ぶぞー!」

はぁ、はぁ。
疲れた。
もう、夜になってしまった。
打ち合わせしよ!
「連。」
声を、かけてみた。
「ん?」
「次のデートだ…」
横を振り向きながら言っていると、連がいなかった。
うそ!さっきまでここにいたのに!
懸命に捜すが、いない。
と、とりあえず!警察!
近くにあった交番にすぐさま駆け込み、事情を説明する。
すぐに、捜索活動には、うつって貰えたけど、十日経っても見つからなかった。
一年が経った。
連がいないから中学にも行きたくなくて休学届けを出してもらっている。
二年がたち、三年がたった、ある日。
散歩していたら見るからに怪しい男らに捕まった。
「立花向日葵だな?草木連。名に覚えは?」
草木連。ゴクリ。その名は、私が最も愛していた彼の名だった。
「ある。」
単刀直入に済ませたかったから、私は、手短に済ませた。
「ついてこい」
と、男に言われた先には、ロボッ化し、変わり果てた姿の連がいた。
「連!」
声を出したが、ピクリとも動かなかった。
こんなところに三年も…
「あなた、連に何したの?」
ビリビリ!そう感じたのか、男はたじろぎながら、
「ふん。実験をしたまでよ」
と、答えた。
「実験?なんの?何のために?」
「それは、答えられない」
はぐらかすように言った。
その時!
ドーン!
室内に大きな響き音が走った。
何事か、と思ってあたりを見回すと、そこには、連が入っていたカプセルが粉々に砕け散っていた。
連は、記憶がないのかあたりを攻撃しまくる!
それは、もう怪獣のように!
ガツン!
吹っ飛ばされた。
壁に頭と背中をぶつけたけど、幸い平気だった。
「連やめてー!」
とどかなくてもいい、けど!
「ひ、向日葵?」
声がした!記憶は無くしてない!よし!助けるぞ!
「待ってて!今、助ける!」
やめなさい!、男に足を掴まれた。
くっ!あぁ!
振り切った。
全速力で連に駆け寄った。
「連!連!」
良かった。生きてた…
パーン!
銃声がした。みんな連をめがけて撃っている。
「やめてー!」
そう、言うと、時が止まった。
動けるのは、私と連だけだった。
混乱しつつも、連を助けるのに夢中になっていた。
「向日葵。僕は、もう助からない…」
「嫌だ!最後まで助ける!」
その時、硬いロボットの体が人間の姿に戻った。
最後に、二人でキスをした。連は、その後粒子となって消えていった。
「連!れーん!」
響くのは、私の声だけ。連の声は、ない。
フッと、私の意識は途絶えた。

四年後のある日
「連、遊ぼうぜ!」
と、公園内で、やんちゃな子供達の声がした。
連と呼ばれた子を見ると、すぐに分かった。
この子は、連かも。
「連?」
思わずつぶやいてしまった。
「うん。ただいま、向日葵。」
その子は、私が誰よりも愛した彼だった。
その後、早咲きの桜が私達の再開を祝うかのようにひらひらと舞ってきた。
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