初恋のお兄ちゃんはIT社長?!執着社長の溺愛デイズ

天沢由紀は焦らされる

 結局、由紀の高熱が熱が下がるまでは3日という時間を要してしまった。病院へ行くと言ったら、知人の医師にリモートで診察させたり、薬を通販で届けさせたり……今時はこんなサービスもあるのかと感心することばかり。

 彼の由紀が心配だから返せないという言葉を鵜呑みにし、そのまま3日間、彼の部屋で生活した結果、由紀はすっかり宏樹を信用しきっていた。

「ヒロくん、お風呂……先、お借りしました!」
「ん。しっかり温まった?」
「うんっ! ほかほか。ヒロくんはまだお仕事?」
「もう少ししたらキリの良いところなんだ。放置してごめんね、由紀ちゃん」

 まるで新婚のように甘くて、柔らかな時間。けれど熱も下がってきたことだし、留守にしすぎて大家さんも心配していそう。この幸せに別れを告げ、そろそろ帰らなくてはいけないと思うと、なんだかとても寂しい気持ちになった。

「あの、ヒロくん……」
「ん? どうかした?」
「私、そろそろ帰らないと……大家さんも心配しそうで」
「……そっか、そうだよね」

 宏樹は少し考え込むように手を口元に当てた。

 ソファで開いていたノートパソコンをパタンと閉じる。そのまま、宏樹は由紀にこっちへおいでと手を広げる。由紀が横に座ろうと近付くと、大きな腕に捕まえられて、宏樹の足の間に座らされた。

「俺は、由紀にまた会えてすごく嬉しいんだ。由紀は?」

 後ろから抱きしめられるような体制。彼の甘く低い声が、耳に直接入ってくる。吐息が届くほどの距離は、徐々に早くなる鼓動を聴かれそうで、緊張してしまう。

「私も……っ会えて、嬉しい」
「それは、お兄ちゃんとして?」
「えっ?」

 意味を聞かれるとは思っていなくて軽く振り向いて聞き返す。思っていたよりも近くに宏樹の顔が迫っていて、由紀は思わず身体をぴくりとさせた。
 
「俺の会いたい気持ちはずっと、由紀にキスしたい、触れたいっていう"会いたい"だった……。だから今、触れられる距離に由紀が来てくれたことを、俺は運命だって思ってる」

 彼からの突然の告白が信じられなくて、瞬きを止められない。どうして?本当に?自分なんかに?と、疑問が頭の中をぐるぐると回る。

「嫌なら拒んで。そしたら……もう2度と触れたりしない」

 悲しげな子犬のように眉を顰め、こちらを覗き込む琥珀色の瞳。そこに映り込むのは真っ赤になった私だけ。あの頃の気持ちが蘇ってきて、曖昧に言葉を濁す。

「わ、私……この歳まで、恋、とか……したことなくて」

 ヒロくんは、馬鹿にしたり、笑ったりせず、うんうんと静かに話を聞いてくれる。

「でも……ヒロくんにこうやって、抱きしめられるのは……嫌、じゃ、ない……よ?」

 どうしたらいいの?と答えを委ねるように彼を見つめると、肩を抱く腕力が強くなった。近かったふたりの間の距離が、さらにゼロに近付く。この曖昧な気持ちを恋と言っていいのか、頭は疑問でパンクしそう。

「はぁ……由紀、かわいすぎ」

 近付いてくる顔にどきまぎして目線を泳がせているうちに、彼の額が由紀の額とぶつかる。鼻の先がキスするようにちょんっと触れると、耳までもが燃えるように熱くなった。

「こんなことも、初めて?」
「あっ……! わ、全部……初めて」

 観念し答えると、宏樹は口元を押さえて顔を赤くした。しばらく泳ぐ視線に一瞬不安になるも、それは杞憂だったとすぐに理解させられる。

「じゃあ俺が由紀の全部の初めてなんだ? たまんないな」

 少し体が離れて寂しいと思った瞬間、男性らしい強い力によって、由紀はソファへ押し倒された。

「ヒロくん……この体勢は……」

 ソファで万歳をさせられているその体勢は、明らかに由紀を沼へ落としにきている。自分自身の恋愛に興味はなくても、ドラマや映画で見てきた知識くらいはある。

 まだ心の準備ができていないというのに、その先の行為までを想像させる体勢に、体が自然と強張った。

「大丈夫。……痛いことはしないって、約束する」

 身を任せてと、頬に軽やかなキスが落ちてくる。お風呂上がりでさらりとした肌触りを楽しむように、宏樹の指先が手首、肘、二の腕とゆっくり撫でていった。

「っ……あっ……くすぐったい……っ」

 無意識に腹筋に力を入れてしまって、由紀のお腹はひくひくと揺れる。

「ふふ。かわいいよ、由紀……」

 そのまま人差し指でなぞるようにして身体に触れた宏樹は、布越しに控えめに膨らんだ胸元を突いた。数回くるくると弄られると、Tシャツに小さな突起が顔を出した。

「っきゃ、そこ、だめぇ……っ!」
「こんな無防備な姿で、よく出てきたね」
「っもう……寝るだけ、だったから……っ」
「寝るだけだからって許されるわけないでしょ。もし俺がおかしな奴だったら、すぐに犯されてたよ?」
「あっ、ごめ、なさい……っ!」

 存在を主張し続ける乳頭を、宏樹は摘んだり弾いたり。その度に高い声を上げる由紀の反応を楽しむように、何度も弄り続ける。

「あっ、あっ、ヒロ……くんっ」
「どうしたの? 由紀。随分涙目だね」
「も……身体、おかしくなっちゃう、よぉ」

 5つも年上の男に組み敷かれたまま、未知の快感に喉を振るわせるなんてね、と笑った宏樹は、そのまま快感に身体を委ねてごらんと続けて呟いた。

 目を閉じて快感を追うようにすると、先ほどよりも焦ったい感情が溢れ出てくる。宏樹は爪を立てて乳頭の周辺ばかりを指先でなぞり、ゾクゾクとした快感を与えるものの、1番欲しいところの強い快感をくれない。

「ひ……あぁん……んっ」
「ぐずぐずに蕩けちゃって、本当にかわいいな由紀は」
「あぁ……ん……ヒロ、くん……もっと」
「もっと? 何をもっとして欲しいの?」

 先ほどまで貰えていた強い刺激が恋しくてたまらない。甘やかされているのに、焦ったい。身体の芯が震えるような、鋭い快感を求めてしまう。

「もっと、触って……」
「ん。おねだり出来て偉いね、由紀」

 にっこりと笑った宏樹は、一度由紀の鼻先へキスをしてから、身体を少し下へと移動した。

 Tシャツの中へ侵入してきた宏樹の指先は、由紀のぷっくりと腫れ上がった先端を優しく弾く。

「ひゃ、あぁぁっ!」

 つん、つん、とゆっくり弾かれる度、由紀の身体はビクビクと跳ねる。背中にかいた汗でTシャツがソファに張りつき、宏樹から与えられる気持ちよさを逃せない。肩で息をしているうちに視界が近々と輝いて、瞼が閉じそうになる。

 様子を見ながら苛めていた宏樹が、両方の蕾をきゅっと摘みあげる。期待していた強い刺激に耐え切れなかった由紀は手足に力を入れてヒクヒクと痙攣し、そのまま気を失うようにして眠りに落ちた。
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