好きを極めた乙女の駆け引き
ずっといがみ合ってきた安心院くんもわたしを好きだったなんて、そう簡単には信じられない。
けれど、疑うこともできない。
だって、安心院くんのその、生徒会長でいるときとは違う笑顔を見ると、疑うのがむしろ失礼に思えてきて。
わたしと同じ「好き」の形をしていると、信じていいのかな。
10-0とはいかないから、4-1で「信」が勝ちでもいいですか?
と、そのとき。ガチャリと、ドアの鍵が開く音がした。
ふしぎだったのは、すぐにドアを開いて外を確認したのに、だれの姿もなかったこと。
だれがこんな手の込んだいたずらをしたのか。
もしかしたらこれも、奇跡、ってやつのひとつなのかもしれない。
倉庫を出ると、安心院くんが手をつないできた。
「どうする、風紀委員長。風紀が乱れることしちゃう?」
わたしは少し考える仕草をとったあと、べーっと舌を出した。
「しません。生徒会長の風紀を守るのも、わたしの仕事ですから」
そう答えつつも、手は強く握り返していた。
𝑓𝑖𝑛
「それにしても、ビッチはひどくない?」
「くそ野郎もな」
