その執着は、花をも酔わす 〜別れた御曹司に迫られて〜
見たことのない天井に、白黒のモノトーンを基調としたモダンな雰囲気の広い部屋、大きなベッド。

「え……?」
服は昨夜のままだ。
昨日は海棠さんと食事に行って、そのあと一人で飲みに行って、そこで——

「起きたか。身体、なんともないか?」
昨夜ツワモノ家で遭遇した彼が、ベッドの脇に立って顔を覗き込む。
昨日はきちんとしたスーツ姿だったけど、今は白いワイシャツにズボンだけだ。
漆黒という言葉が似合いそうな艶のある黒髪、切れ長の瞳……。
「……」
「どうした?」
私をとらえる懐かしい瞳に言葉が出ない。
「大丈夫か? 花音」
「……な、なまえ」
「名前?」
「よ、呼ばないでください!」
私は慌てて彼と反対側を向いてベッドを出ようとする。
「待った」

グイッと身体を引き戻される。
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