虐められ抜いた私が悪役令嬢に転生し援軍を得て、婚約破棄してきた王子をざまぁし最高の男と結ばれるまで。
「赤信号!」
私は思わず聞こえた女の声に振り向いた。

そこには、ピンク色のウェーブ髪にピンク色の瞳をしたヒロインであるフローラ・レフト男爵令嬢が立っていた。
この世界に信号は存在しない。

「白川愛⋯⋯」
私は憧れのフローラを前にして、私を虐め抜いた首謀者の名前を呟いていた。

「やだ、マジで綾なの? キモ女、今度は悪役令嬢になったんだ。これ、あんたがよく読んでた小説の世界でしょ。どこ行っても邪魔者なのね。あんたよっぽど赤信号が気に入ってたのね、その赤髪、あの時の信号の色みたい」

私が学校に行けなくなった最大の事件は、赤信号を無理やり何度も往復させられたことだった。
死ぬまで往復しろと愛を中心としたクラスの人間に煽られて、結局バイクに轢かれて入院するほどの怪我をしたのだ。

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