虐められ抜いた私が悪役令嬢に転生し援軍を得て、婚約破棄してきた王子をざまぁし最高の男と結ばれるまで。
「イザベラ、他国の王子の婚約者のあなたに愛を伝えるのは間違っているとわかっています。しかし、あなたを幸せにするのは私でありたいです。ライト公爵家とライ王国の強いつながりを考えると、ルブリス王子との婚約を破棄することはたやすくありません。彼との結婚はまぬがれない可能性もあります。もし、彼とイザベラが結婚したら、私はライ国を侵略しあなたを奪いにいくでしょう。そのような事態になってもライト公爵家の安全は保証することをお約束します。私があなたを諦めることはこの先もないでしょう。観念してください、イザベラ。全ては、あなたが私の心を奪ったことが原因です。隣国ですがライ国からルイ国まで馬車に乗りっぱなしでも、7日間はかかります。お腹が空いたらいつでも言ってください。私に与えられるものがあれば、いつでも言ってください。愛しいイザベラ」

彼は私の頰に口づけすると、そのまま寝てしまった。
おそらく多忙であろう彼はとても疲れていたのだろう。

「心を奪ったのはあなたの方ですよ」

私はサイラス王太子殿下の髪に口づけをすると彼に寄りかかった。
彼の隣にいると、ときめきのあまり心臓がうるさかった。

起こるかもしれない戦争や白川愛の存在が怖くて、心がサイラス王太子殿下を頼っていた。
彼に身を寄せると安心するような柔らかい香りと温もりに、吸い込まれるように眠気が襲ってきて私は眠りに落ちた。
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