都合のいいオトコ

その反応が引っかかって、続く言葉を待ってると、シイちゃんは「んー」とつぶやいてから口を開いた。

「戸田くんがこの前、うちんとこに愚痴りにきたんよー。マイちゃんが朝、男の車で出勤してたって。駅で見かけたって言うてたけど……」

「あー」

ミツルのこと見られたんか。

戸田さんっていうのは遊園地の社員さんで、確か、歳は26。眼鏡をかけてて一見真面目そうに見えるけど、女の子が大好きな人で、集金の時間は各所の女性スタッフを口説きまくってるらしい。

「あれは……マコトやないんよね」

「あ、戸田くんの見間違えとかでもないんや? 新しい彼氏?」

「や、彼氏じゃないんやけど……最近は送ってもらってる」

「ふうん。キャバクラのお客さん?」

「……んー、ちょっとちゃうねん」

職場では夜の仕事のことは話してなかったけど、シイちゃんにはキャバクラで勤めてることは打ち明けてた。

ミツルとは微妙な関係やから、詳しく言うつもりはなかってんけど、シイちゃんは話の続きを聞きたそうにしてるから、結局、私は結婚式の二次会の日までさかのぼって、ミツルとの出会いからを全て話した。
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